藻場再生への取り組み
藻場再生への取り組みは、主に漁業者によって行われていますが、その方法も地域によって様々です。特にコンブ漁が盛んな北海道では、コンブを育成することに直結する活動が盛んですが、その以外の地域では、藻類の主なアマモを増やす活動が行われているところが多いです。
アマモの再生活動としては、今あるアマモ場から初夏に花枝を摘み取って種をとり、暫く保存します。秋になってからこの種を藻場の候補の場所へとまくのです。
撒き方にも工夫があって、海流に流されないようにガーゼにくるんだり、天然繊維とアマモの種を絡ませたシートを作ってこれを沈めたりして定着率を良くするようにしています。
藻場再生は町おこしも兼ねて
藻場再生にあたって大きな障害となるのが、食害です。ウニの仲間のガンガゼや毒エラを持つアイゴなど、食味が悪かったり危険だったりするため商品価値の低い生物が藻を食べる事が多いのです。
それらの生き物を駆除する場合は、単に廃棄処分される例がほとんどです。しかし、これらの生き物も工夫次第では食べられますので、町おこしも兼ねて地域で加工の仕方を工夫するなどして、有効活用をはかるべきです。
そうして付加価値が付けば、漁業者の負担を減らすことも出来ますし、なにより海の大切な資源を有効に利用することが出来るのは、素晴らしい事です。
藻場再生と食生活の変化
藻場を減少させている原因のひとつとしてウニによる食害が取り上げられる事が多いのですが、実は食害を引き起こしている生き物が他にもいます。それが、アイゴという魚です。食用も出来るのですが、ヒレに毒があって取扱いが大変という難点があります。
かつては雑魚として食べられていましたが、今ではほとんど食べる人がいなくなってしまいました。そのため、アイゴを獲ろうという漁師さんもおらず、これがアイゴを増やす結果となり、藻を食い荒らしているのです。そのため、アイゴの駆除も藻場再生には重要なのですが、食用にする工夫も必要でしょう。
藻場再生の方法は一つではない
「藻場」、普段の生活の中では聞く機会はそれほどないかもしれませんが、水産生物の宝庫でもあります。藻場は、二酸化炭素を吸収する大植物群でもあります。
この藻場は、近年の地球温暖化の影響による海水温の上昇や魚類による食害、環境破壊などの影響により、縮小されてきていると言われています。
縮小された藻場を元のように戻す活動のことを藻場再生と言います。その方法は、魚類等による食害を防ぐために網などで藻場を保護する方法や海藻プレートと呼ばれる海藻を付着されたプレートを水中に沈めるなどの方法があり、条件によって適切な方法が選択されます。
藻場再生には人工物が必要
藻場はもともと沿岸部に広がっていました。しかし、これら自然の海岸は、多くが埋め立てや護岸工事で失われてしまいました。もはや自然の藻場をかつてのように再生させる事は不可能です。従って、藻場再生は、藻が生息できる環境を新しく人間の手で作ってあげる作業ということになります。
日本の森林のほとんどは原生林ではなく植林です。藻場についても、同じく自然ではなく植林による再生がこれからの主な形になっていくでしょう。
しかし、日本の国土が植林であっても緑豊かな自然に恵まれた場所であることに変わりなく、藻場もまた人の手で豊かに管理、再生していけばよいのです。
藻場再生を促進させるメリット
藻場再生は地球温暖化による海水温の上昇や海の埋め立てなどにより減少してしまった藻場を再生させようとする活動のことです。
藻場を再生させることで海水が浄化され海中生物の生活環境が改善されるため結果的に漁業が活性化するといったメリットがあります。さらには生活排水の浄化システムが改善されたり森林の増加などの恩恵を受けることができます。
近年では藻場の持つ重要な役割が再認識され全国的にも藻場再生に向けての取り組みが拡がってきています。私たちが恵みあふれる地球と生活をともにしていく限り藻場の再生は必要不可欠なのです。